農業研究本部

乳牛淘汰が短期的所得形成に及ぼす影響~部分試算計画法によるアプローチ~

岡田 直樹

北海道立農試集報.82,67-74 (2002)

 部分試算計画法による計測モデルを用い,乳牛淘汰が酪農経営の短期的所得形成に及ぼす影響を検討した。共済金の補填のもとで,淘汰による直接的な年間所得減少は表面化していない。しかし,経営主の意図しない不慮の淘汰は,当該牛の牛乳生産継続の断念や代替牛の個体販売機会の喪失などによる間接的な所得逸失を引き起こしており,こうした逸失額を考慮すると1経営当たりの年間所得損失は200万円を超える場合がある。このことは,不慮の淘汰の縮小が,多くの経営で所得改善の重要な手段となる可能性を示唆する。


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