農業研究本部

水稲新品種「ななつぼし」の育成

吉村 徹、丹野 久、菅原 圭一、宗形 信也、田縁 勝洋、相川 宗嚴、菊地 治己、佐藤 毅、前田 博、本間 昭、田中 一生、佐々木忠雄、太田 早苗、鴻坂扶美子

北海道立農試集報.83,1-10 (2002)

 「ななつぼし」は1993年に北海道立中央農業試験場において交配した「(ひとめぼれ×空系90242A)F1×空育150号(あきほ)」の雑種第1代を葯培養で育成し,2001年3月に北海道の奨励品種として採用された(系統名:空育163号)。出穂期および成熟期は「ほしのゆめ」よりやや遅く,「きらら397」並の“中生の早”である。食味は「きらら397」に優り,「ほしのゆめ」並から僅かに優る。障害型耐冷性は「きらら397」に優り,「ほしのゆめ」と同じランクの“強”で,玄米収量は「きらら397」並からやや優る。耐倒伏性は「きらら397」より劣り,いもち病の圃場抵抗性は概して「ほしのゆめ」に優り,「きらら397」に劣る。玄米品質は「きらら397」並で,玄米白度は「きらら397」よりやや劣るものの,白米白度は「きらら397」にやや優る。本品種を「きらら397」の一部に替えて普及することにより北海道米の食味向上,安定生産および販路の拡大を図る。


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