農業研究本部

水稲新品種「ほしのゆめ」の育成

新橋 登、前田 博、國廣 泰史、丹野 久、田縁 勝洋、木内 均、平山 裕治、菅原 圭一、菊地 治己、、佐々木一男、吉田 昌幸

北海道立農試集報.84,1-12 (2003)

 水稲新品種「ほしのゆめ」は,1988年に上川農業試験場(農林水産省水稲育種指定試験地)で交配した「あきたこまち」/「道北48号」//「上育397号」(きらら397)の雑種後代から育成され,1996年2月,北海道の奨励品種に認定された(系統名:上育418号)。同年,農林水産省に「水稲農林340号」として登録され,「ほしのゆめ」と命名された。本品種の出穂期は「きらら397」とほぼ同じであるが,成熟期はそれよりやや早い中生種である。稈長は「きらら397」より長く,「ゆきひかり」より短い。穂長は両品種より短く,草型は"穂数型"である。ふ先色は"黄白",芒性は"少短"である。穂孕期の障害型耐冷性は"強"である。いもち病圃場抵抗性は弱く,葉いもち,穂いもちともに「きらら397」にやや劣る。いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia,Pii,Pik"と推定される。耐倒伏性は「きらら397」に劣る。玄米収量は「ゆきひかり」並で「きらら397」に比べてやや少収である。玄米品質は「きらら397」,「ゆきひかり」並であり,食味は「きらら397」を上まわる"上下"である。以上の特性から,「ほしのゆめ」は北海道の網走,十勝を除く上川(士別以南),留萌(中南部)以南で推奨できる。


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