農業研究本部

イチゴ「きたえくぼ」の先白果発生軽減対策

坂口 雅己、中村 隆一、川原 祥司、日笠 裕治

北海道立農試集報.84,65-72 (2003)

 イチゴ「きたえくぼ」について灌水方法および窒素施肥量が収量および先白果の発生に及ぼす影響を検討した。先白果割合は,多灌水条件で高く,また平均1果重との間には正の相関が認められた。灌水時期の比較では,収穫年における収穫始以前の灌水は先白果発生を助長したが,収穫期以降の灌水は発生を助長しなかった。窒素施肥との関係では,先白果割合は施肥量が増加しても高くならず,収量は150kg/haで最も高く,200kg/haでは減少した。先白果の果実中養分含有率は,正常果と比較してN,P2O5,K2Oが高かった。また,Ca/P比およびCa/K比と先白果割合の間に高い負の相関が認められることから,カルシウム割合の低下が先白果発生に関与したものと考えられる。以上の結果から「きたえくぼ」の栽培管理指針を以下のように定めた。①灌水は収穫始以前には極力控え,収穫始直後から始めること,②窒素施肥量は施肥標準に準ずること。


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