農業研究本部

クリーン農業による道産タマネギの供給変動が国内市場に与える影響

白井 康裕

北海道立農試集報.84,83-90 (2003)

 クリーン農業で生産されたタマネギの収量水準は,一般的な栽培法に比べると,減農薬・減化学肥料栽培で1割程度,有機栽培で2割程度低い実態にある。本試験は,この実態を踏まえて,道産タマネギの供給量が減少した場合における国内他産地及び消費地に与える影響について,空間均衡モデルにより予測した。その結果,道産タマネギの供給量が減少すると,国内他産地が供給量を増加させるものの,北海道産の減少を補うだけの量には至らないため,輸入量が増加する事態が予想された。道産タマネギは,国内の需要と供給のバランスに大きな影響力をもつことから,クリーン農業に取り組む際,収量の安定化を念頭に置いた産地化を進めることが肝要である。


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