農業研究本部

上川地方における丘陵地土壌の銅および亜鉛欠乏の実態と資材施用効果

横井 義雄、長谷川 進、菊地 晃二

北海道立農試集報.86,57-63 (2004)

 上川地方の丘陵地土壌には母材と地形を要因とする微量要素問題があり、その要因解析と対策について示した。 1)上川地方の丘陵地土壌を荒木らの分類法により区分すると酸性から塩基性のものまであり、化学性の差が大きいかった。 2)上川地方の丘陵地土壌の全亜鉛含量および全銅含量は母材が蛇紋岩>安山岩質火砕岩>流紋岩質溶結凝灰岩の順に高かった。 3)有効態亜鉛含量および有効態銅含量は流紋岩質溶結凝灰岩を母材とする褐色森林土で欠乏限界以下で作物の欠乏症も確認された。 4)亜鉛および銅欠乏は丘陵地上部の丘頂面および南部斜面の褐色森林土、基盤整備による多量の下層土混入でもほ場に発生していた。また、銅欠乏は丘陵地上部の丘腹北斜面の暗色表層褐色森林土でも発生していた。 5)亜鉛欠乏には硫酸亜鉛0.02~0.04 Mg ha-1、銅欠乏には硫酸銅五水和物0.05 Mg ha-1施用することで作物の乾物生産および子実収量が改善される。


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