農業研究本部

水稲新品種「ほしたろう」の育成

平山裕治、菊地治己、木内均、新橋登、丹野久、田縁勝洋、佐々木一男、前川利彦、佐藤毅、田中一生、木下雅文、吉田昌幸

北海道立農試集報.88,1-11 (2005)

 「ほしたろう」は,1993年に北海道立上川農業試験場(農林水産省水稲育種指定試験地)で交配した「上育418号(ほしのゆめ)」と「空育150号(あきほ)」の雑種後代から育成され,2000年2月,北海道の奨励品種に認定された(系統名:上育427号)。同年,農林水産省に「水稲農林368号」として登録され,「ほしたろう」と命名された。本品種の出穂期は「きらら397」と同じ“中生の早”であるが,成熟期はそれよりやや早い“早生の晩”である。稈長は「あきほ」,「きらら397」並で,「ほしのゆめ」よりやや短い。穂数は「あきほ」,「きらら397」より多く,草型は“穂数型”である。ふ先色は“黄白”,芒性は“稀短”である。穂孕期の障害型耐冷性は“やや強~強”である。いもち病圃場抵抗性はやや弱く,葉いもち,穂いもちともに「きらら397」並である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia,Pii,Pik”と推定される。耐倒伏性は「きらら397」,「あきほ」にやや劣り「ほしのゆめ」並である。玄米収量は「あきほ」に優り「きらら397」に比べてやや少収である。玄米品質は「あきほ」にやや劣るが,「きらら397」並であり,食味は「ほしのゆめ」並の,“上下”である。以上の特性から,「ほしたろう」を「あきほ」と「きらら397」の一部に置き換えて作付けすることにより,北海道産米の食味レベルを引き上げるとともに,その生産の安定化を図る。


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