農業研究本部

北海道の露地栽培ネギにおけるネギアザミウマの発生生態と被害許容水準に基づく防除体系

岩崎暁生、堀友子、安岡眞二

北海道立農試集報.88,49-58 (2005)

 北海道において,露地栽培ネギは生育後期に10日に1葉のペースで出葉することから,出荷時に残される上位3葉の食害を抑制するためには,収穫前30日間,ネギアザミウマの被害を抑えることが必要であった。この期間のネギアザミウマの最大寄生時の寄生頭数と収穫時の被害の関係を解析した結果,上位3葉あたり成・幼虫数(X)と商品化率(Y)の間にはY=99.75-5.45X (r=-0.850, p<0.001)の関係が認められ,商品化率90%に相当する上位3葉あたり成・幼虫数2頭を生育後期の被害許容水準として設定した。空知支庁管内のネギ産地における発生実態調査の結果,ネギアザミウマの寄生密度はタマネギほ場に近接するネギほ場で高く,水田や秋まき小麦ほ場などに近接したほ場では低かった。防除上重要な期間は寄生頭数が上位3葉あたり2頭を上回ることのある7月中旬~9月下旬であった。ほ場で実施した殺虫剤効果比較試験の結果,ネギアザミウマの寄生頭数が被害許容水準を下回る見かけ上の残効期間は,最も効果の高い合成ピレスロイド系のシペルメトリン,ペルメトリンであれば1週間(多発生条件)~2週間(少発生条件),カーバメート系のベンフラカルブ,カルボスルファン,ネオニコチノイド系のイミダクロプリド,アセタミプリド,ジノテフランは少発生条件で1週間程度と推測される。


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