農業研究本部

秋まきコムギ新品種「きたほなみ」の育成

柳沢朗、吉村康弘、天野洋一、小林聡、西村努、中道浩司、荒木和哉、谷藤健、田引正、三上浩輝、池永充伸、佐藤奈奈

北海道立農試集報.91,1-13 (2007)

 秋まきコムギ「きたほなみ」は,1995年に北海道立北見農業試験場作物研究部小麦科(農林水産省小麦育種指定試験地)において耐病性,穂発芽耐性に優れたやや早生,良質,多収品種の育成を目的に「北見72号」(後の「きたもえ」)を母,「北系1660」を父として人工交配を行った雑種後代から育成された。2006年12月に「小麦農林168号」として農林登録され,「きたほなみ」と命名された。  本品種は,成熟期は「ホクシン」より2日遅いやや早生種である。稈長は「ホクシン」と同程度である。子実重は「ホクシン」対比114%と多収で,各種雪腐病抵抗性,うどんこ病抵抗性は「ホクシン」と同程度であるが,赤さび病抵抗性,穂発芽耐性は「ホクシン」より優れ,赤かび病抵抗性,コムギ縞萎縮病抵抗性はやや優れる。灰分含量が低く,製粉性が優れ,蛋白含量は「ホクシン」よりやや低く,製めん適性(ゆでうどんの官能検査)はめん色が優れ,粘弾性は同程度であり,めん総点は「ホクシン」より優れる。本品種の普及により北海道産コムギの収量性,品質及び安定性の向上,生産コストの低減が図られると期待される。


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