農業研究本部

水稲品種「あやひめ」の育成

木内均、沼尾吉則、平山裕治、前川利彦、木下雅文、相川宗嚴、菊地治己、田中一生、丹野久、佐藤毅、新橋登、田縁勝洋、佐々木一男、吉田昌幸、前田博、菅原圭一

北海道立農試集報.93,13-24 (2009)

 「あやひめ(系統名:上育433号)」は1992年に北海道立上川農業試験場(農林水産省水稲育種指定試験地)で交配した「AC90300」と「キタアケ」との雑種後代から育成され,2001年2月,北海道の奨励品種に認定された。同年10月農林水産省に「水稲農林376号」として登録された。「あやひめ」の出穂期,成熟期は「はなぶさ」より1日程度早い“中生の早”。穂孕み期の障害型耐冷性は“やや強から強”。葉いもち圃場抵抗性は“強”,穂いもち圃場抵抗性は“中”。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia,Pik”と推定される。玄米収量は「はなぶさ」にやや優る。玄米品質は「はなぶさ」並で,アミロース含有率が「彩」や「はなぶさ」よりやや低く,低温年を除き白濁し,その程度は「はなぶさ」並。玄米・白米白度は「はなぶさ」より高い。炊飯米の白度が高く,粘りが強く,柔らかいため食味の評価が高く,「はなぶさ」に明らかに優る。一般粳米との混米の食味評価も同様に高い。以上のことから「あやひめ」を「はなぶさ」に替えて普及することにより,北海道米の食味向上と安定生産,販路拡大を図る。


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