農業研究本部

北海道におけるアズキの機械収穫体系

竹中秀行、加藤淳、佐藤仁、関口建二、桃野寛、村田吉平、島田尚典、青山聡、冨田謙一、南忠

北海道立農試集報.94,65-79 (2009)

 北海道におけるアズキの機械収穫体系について,既にピックアップ収穫技術の適応可能性が明らかとなっている十勝中央部以外における適応性及び上川・道央地方におけるコンバイン直接収穫技術の適応性を検証した。十勝中央部における生育と同様に,十勝山麓及び沿海地域,網走地方においても密植栽培によってアズキの成熟期や完熟期を早めることができる。生育遅延年を除き,各地域における霜害の危険度を考慮し,適切な品種を選択した上であれば,ビーンハーベスタとピックアップ装置付きスレッシャあるいはピックアップヘッダを装着した普通コンバインを用いたピックアップ収穫体系の適用が可能である。この際,密植栽培によって標準栽培よりも収穫損失を低減させることができ,収穫損失5%未満での収穫が可能である。上川・道央地方においては,完熟期以降2週間以内におけるアズキの外観品質の低下程度は小さく,コンバインで直接収穫したアズキの外観品質は島立てよりも優れ,ニオ積みに匹敵するため,この範囲で速やかに収穫を行うことが望ましい。倒伏なしから倒伏程度が”多”の作物条件における直接収穫では,ロークロップ丸鋸刃及びリールヘッダの2条刈コンバイン2機種によって損失を5%にとどめることができる。ピックアップ収穫,直接収穫ともに適期に機械収穫されたアズキの機械的損傷の発生率は最大0.7%にとどまる。収穫,調製後のアズキの品質,加工適性には標準ニオ積みと機械収穫による差は認められず,むしろ地域間,年次間の差が大きい。以上より,ビーンハーベスタ,スレッシャ,コンバインによるピックアップ収穫体系及び,コンバインによる直接収穫体系は北海道における良質なアズキ生産のための省力的収穫体系として利用できる。


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