農業研究本部

赤クロバーの常温通風乾燥に関する研究  -乾燥操作について-

高橋 俊行、藤田 昭三、有我 文子

北海道立農試集報.1,86-92 (1957)

 今回の試験で知つたことは 

1.投入する被乾燥物は堆積の高さ50cm位、重量にし細断した生草ならば500~600kg・非細断の生草なら250kg・1kg天日乾燥して細断したものならば500kg位が好適のようである。
2.送風機が右回りのため、中央風路の左へ多量に送風され左側が早く乾燥する。したがつて左側框には少々多く投入する方が有利である(あるいは左右同僚送風されるように遮断板などを設ける)。
3.壁に接する部分は茎葉が壁に支えられ堆積密度が小さくなり、かつ壁が多少なりとも振動するので壁に沿つて空間ができる。そのため空気抵抗が少なく、空気の流通が良くなり乾燥が速く進行するから、周囲は少々高く堆積するかまたは密に投入すると乾燥が一ように行われる。
4.堆積の下部は乾燥が進むにつれ固く締まり空気の流通が悪くなる、特に生草を細断したものはこの傾向が強いから、2日に1回くらい手でよくほぐすのがよい。
5.排気は温度が低いため床に沿つて流れ、再び送風機に吸い込まれる場合がある(特に狭い屋内に設置した時にそうである)。一度乾燥機を通過した空気が再び吸入されないように相当広い部屋(または納屋)に設置しなければならない。四方の窓を開放するとしても乾燥機床面積の20倍程度の面積が必要であろう。吹抜小屋も理想的であるが、また建物の片側から吸気し他の側へ排気させるのも一方法である。
6.乾燥機に投入する材料は1~2日天日乾燥して含水率50%内外に下げておく方が好都合である。
7.非細断のものよりも3~4cmに切断した方が空気の接触面が増大し乾燥速度が大きくなるがしかし細断したものを堆積すると静圧が増し同一風量を送り込むのに大きな馬力が必要となる。家畜のそしやくの便を考えると今回の1/2位の長さ(1~2cm位)が好都合かも知れない。
8.乾燥面積を増すためにヘーコンデショナー等(あるいは藁打機など簡単なローラーによる代用)を使用して圧扁させることも考えるべきであろう。
9.吸気の関係湿度が85%以上になると乾燥はほとんど進まない。さらに被乾燥物の含水率が30%以下(特に20%以下)の時は関係湿度80%以上の空気を送ると逆に被乾燥物の含水率が高まる傾向さえみられることがあつた。この時期において送風を中止すべきか、あるいは被乾燥物がむれるのを防ぐため送風を継続すべきかは検討の余地がある。乾燥期間を通じての吸気の平均関係湿度が75%程度以下が好適のように考えられる。
10.吸気の湿度が高くなると送風の効果が少なくしかも経費を要するから、湿度により送風機の運転を自動的に断続させる装置も必要であろう。また乾燥が進むにしたがい送風量を減少させてもよいから、送風機の回転数を随意に調節させる方法も考えるべきであろう。

  本試験は農林省から連絡試験費の交付を受けて実施したものである。今回は乾燥操作について考案を加えたが、経済性・普及性などについては次回に論議したい。


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