農業研究本部

根釧地方におけるルタバガの栽培法に関する試験
第1報 播種期と栽植密度が収量並びに白腐病に及ぼす影響

男沢 良吉

北海道立農試集報.1,18-29 (1957)

 根釧地方におけるルタバガの直播栽培の場合の播種期および栽植密度について、白腐病の被害等一般栽培の実情から再検討するため、これらが収量ならびて白腐病にいかなる影響をおよぼすかについて調査した。その結果はつぎのとおりである。 

1.生育調査の結果、5月に播種した区よりも6~7月に播種した区は7月~9月における生育が急激であって、6月播種のものは白腐病の発生時期において、発病と最も関係のある根部の裂傷が生じやすい状態にある。7月播種の極晩播のものは初期生育はきわめて速やかであるが、10月に入ると温度が下るために生育か緩慢となり、生育日数の不足が収穫期の根周にあきらかに現われている。
2.菜根収量は播種期が遅れるにしたがって減少し、栽植密度については年次により処理が異っているが、1953年は15㎝から45㎝までの間に収量差なく、1954年は株間の最も広い65㎝が25㎝、35㎝、45㎝よりも収量減が認められたのであるが、天候の悪い年、あるいは生育日数が少ない晩播ほどこのような傾向が現れてくる。
3.乾物収量については1954年の結果だけであるが、菜根収量の場合と同じことがいわれ、僅かではあるが乾物率は栽植距離の狭い方が高い傾向があるので、株間の間の収量差が菜根収量の差より大きくなった。
4.茎葉重の菜根重にたいする割合は、播種期が遅れるほど、また栽植密度がますほど大きくなる傾向があって、天候不順の年、あるいは極端な晩播において播種期の間の差がきわめて顕著である。
5.茎葉収量は年によって異なり、1953年のようにルタバガの生育に好適な年には5月中旬~7月上旬播種の間に大差ないが、1954年のように天候不良の年には5月上旬~7月上旬の間では晩播の方が多い傾向を示し、7月20日播種のような極端な晩播は生有日数の不足によって最低を示している。栽植密度との関係では個体数が影響して栽植距離が広いほど減少の傾向がある。
6.白腐病の被害度と播種期および栽植密度は密接な関係があって、播種期では6月に播種した区が最も被害度が大きい。栽植密度との関係では栽植距離が広いほど被害度が大きいことが認められた。


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