農業研究本部

根釧地方火山灰地における開墾後の地力推移について

早川 康夫

北海道立農試集報.1,30-38 (1957)

 昭和22年度より29年度に至る地力推移試験が完了したので、これに土壌分析を附し報告した。  試験は開墾後直ちに金肥および堆肥の用量それぞれ変え、デントコーン、馬鈴薯、燕麦を順次栽培し収量調査を行なった。その結果、新墾時代は燐酸を主体とし中程度に施肥した場合の収量が多かったが、年次を経るに従いとくに堆肥施用量の多い区の収量が高くなった。  これはこの地方の火山灰土壌は、開墾当初燐酸に欠乏するのみで、窒素加里は割合に豊富であり、金肥あるいは堆肥の多用は生育遅延、澱粉含量の低下、倒伏等を起こし、却って収量を減ずる結果に終る場合が多い。とくに粗腐植の分解により、生育後半に窒素過剰となることが最も影響を与えるようであるが、6年目以降においてはこのような分解も納まり堆肥の肥効が漸く顕著となった。


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