農業研究本部

農業経営の安定化に関する経営学的研究
経営試験農場における土地利用方式並びに経営組織を中心として

桃野 作次郎、村山 哲朗

北海道立農試集報.1,52-66 (1957)

 以上北海道の農業を取り巻く自然的および社会的条件との関連において、農業経営の安定化方策をみきわめるため、土地利用方式ならびに経営組織如何が、如何たる意義を有するかについて若干の理論的分析をこころみるとともに、北方農業経営安定化のために従来実験を進めてきた経営試験11農場それぞれの持つ土地利用並びに経営組織の一面を分析し、概観的ではあったが一応の安定および不安定現象を理論的に説明した。さらに実践的資料と実証をこころみるために、劣悪な自然的および社会的条件を克服した一経営試験農場の概要とその生産力形成のメカニズムについての一端を紹介した。  その持つ生産力水準は全道の1.6倍ときわめて称讃すべき成果をみきわめたのであったが、それらの原因と要約するとすでに農業経営安定化の近代的方向として意義ずけた資本をもって経営を装備することこれであるということを指摘したい。すなわち北海道と経営試験農場における資本構成を対比してみると第19表のごとく経営試験農場における経営は北海道一般に比し、よりよく資本によって装備されている点が指摘されよう。さらにまたこの資本装備の高度化はこれが中軸となって他の要素、すなわち土地、労働それぞれの利用共同を完からしめ究極的には生産力の永続的発展に貢献していることが証明された。


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