農業研究本部

畜力噴霧機に関する試験 第1報

渡辺 隆、斎藤 亘、櫛部 安喜

北海道立農試集報.1,67-85 (1957)

 筆者等はこの試験研究によって、畜力の有する能力を最大限に発揮せしめ得る畜力噴霧機の作出を期待した。すなわち現在市販されている畜力噴霧機について性能分析を実施して、畜力を最大限に利用し得ない要素があるとすれば、それは何かまたどうすれば最大限に発揮させ得るかについて考察を進めてきた。  本研究において、畜力噴霧機が有する畜力の限界を把握してきた。すなわち噴霧圧70~80lbs/□"ノズル数16~20頭が最も良好な性能を示し、しかも耕馬は1m/secのときに能率的であることを知った。  しかしながら、以上の結果が畜力の限界であると断ずることは早計である。筆者等はB型の試作によって、その向上を期待したのであるが、機体重の軽減と伝導装置の改良には、満足すべきものがあったが、ポンプおよびポンプよりノズルに至る間の改良は、残念ながら行い得なかった。  従って、今後の試験研究は、ポンプ自体の構造作動の究明と、ポンプよりノズルにいたる管内構造、ノズルの構造等の分析に主眼点が向けられねばならない。また実用試験的な意味ておいて、植物茎葉に対する薬液附着の状況観察を、実際の畜力噴霧機と動力噴霧機について実施し、検討を加えていきたい。  以上の研究が完成してこそ、畜力の限界点がおよそ示されることになろう。


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