農業研究本部

根釧地方におけるルタバガ白腐病に関する試験  第1報 本病の病状及び病原細菌について

馬場 徹代

北海道立農試集報.2,23-44 (1958)

1.北海道根釧地方における酪農経営上のルタバガ栽培の必要性とルタバガ白腐病防除の重要性を述べ、本研究の目的をあきらかにした。
2.根釧地方におけるルタバガ白腐病の発生沿革について述べ、既往の研究を概括した。
3.ルタバガ白腐病は一般に夏季に発生が多く根部組織が白色ないし飴色水浸状に腐敗して悪臭を放つ等の病状について記述した。
4.ルタバガ罹病株から分離した細菌菌株のルタバガ根部組織に対する接種試験をおこない、ルタバガに病原性を有する細菌菌株の形態的性質培養的性質および生理的性質をあきらかにした。これらの細菌菌株は諸性質においてほとんど同一であったが、糖類の醗酵能において差異が認められた。すなわち全菌株はいずれも供試した12種の糖およびアルコールから酸を産生したが、ガスの発生に関しては差異があり、ある菌株は全くガスを発生せず、ある菌株は8種の糖からガスを発生しある菌株は2、3の糖のみからガスを発生した。
5.これらの細菌菌株はルタバガの根部のみならず、ニンジン、馬鈴薯、ダイコンおよびキャベツ等をも侵して腐敗させた。
6.これらの細菌菌株の血清凝集反応を試験した結果から、これらは複雑な類属菌であると認められた。
7.以上の諸性質からみて、ルタバガ白腐病の病原細菌はErwinia carotovora(JONES)HOLLANDの系統菌であると同定することが妥当と認められた。


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