農業研究本部

薄荷の輪作栽培と労力

前木 茂

北海道立農試集報.2,94-97 (1958)

 薄荷新品種輪作栽培の一つのねらいであった投下労働の節減による生産費の低減ということは、既述せるごとく輪作栽培において増加せる種根の拾集、植付等の労働は除草労働の激減によって完全に補われ、むしろ反当り総労働時間においては12時間余の減少となるという形で実現せられ、また同時にこの除草労働の各旬を通じての軽減は同一時期における他作物の雑草の発育あるいは病害虫等の発生に応じた諸管理を慣行法に比してより適切に遂行しうるものであろう。さらに栽植労働によって増加した労働は季節的にみれば、10月下旬および11月上旬に集中しており、この時期は慣行の場合労働の谷へ移行する時期である。したがって季節的配分という観点からはむしろ好結果をえたものと考えてよかろう。  以上薄荷の輪作栽培における所要労働は、作業別構成並びに時期的配分において慣行の床薄荷の場合とは著しく相違し、耕種労働全体の労働体制並びに薄荷労働自体の態様は慣行の場合に比しきわめて良好となるものといえよう。


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