農業研究本部

菜豆における質的形質の遺伝について

後木 俊三

北海道立農試集報.2,101-106 (1958)

1.豆新品種育成のため1954年に人工交配を行なった5組合せについて、1956年に育成した雑種第2代から菜豆の11の質的形質の遺伝関係を調査した。
2.嫩茎色については5403の組合せにおいて3対の補足因子の関係が認められた。
3.茎色については5404の組合せにおいて2対の補足因子の関係が認められた。
4.節色については5403の組合せにおいて2対の因子の上位性、下位性がみられた。
5.草型については矮性と半蔓性の4組合せの中3組合せでは3:1の分離が認められたが、1組合せは異なる分離を示した。
6.花色については4組合せ中3組合せは9:3:4の分離比で、2対の変更因子の関係があるが、1組合せは12:3:1の分離比を示し、上位、下位の関係が認められた。
7.嫩莢色については5403の組合せにおいて2対の変更因子の関係が認められた。
8.熟莢色の遺伝関係については次のとおりである。
1)地色では5404の組合せで9:3:3:1の分離比がみられ2対の因子の働きが認められた。
2)斑紋の有無については、5407の組合せにおいて2対の補足因子の作用がみられた。
9.莢型については5402の組合せで1対の因子の不完全優性の関係が認められ、ほかの3組合せでは不規則な分離がみられた。
10.莢先型については2組合せについて調査したが、いずれも不規則な分離がみられた。
11.粒形についても5402の組合せでは不規則な分離を示した。
12.種皮色については5402の組合せにおいて次に示す結果がみられた。
1)地色では3対の変更因子及び上位性因子の作用が推定されるが追試を要する。
2)斑絞色については、5402の組合せで1対の因子の簡単な優劣の関係が認められた。


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