農業研究本部

水稲収量と気象条件に関する一考察
上川支場におけるデーターから

柴田 和博

北海道立農試集報.4,1-8 (1959)

1.北海道の水稲収量は従来7~8月の平均気温と最も密接な関係があるとされているが、それのみでは説明し得ない場合も少なからずあるのでこの点を究明するために7~8月の平均気温以外の2、3の気象条件を同時に考慮して検討した。資料は上川支場で最近12年間同一条件で栽培した早生品種「農林20号」と中生品種「中生栄光」から得られたものを用いた。
2.その結果、6月の気象条件の配分を示すような1つの指標を加えることが大きな意味を持つと考えられた。すなわち、6月の日照3時間未満日数(S6')を加えて作られた収量の推定式は有意であると同時に推定誤差が最も小さくなった。そして今まで例外とされた年も実収と推定値がかなりよく一致した。しかもこのS6’は計算された範囲内では両品種を通じて最も大きれ働きな持った。単一の気象条件から作られた推定式が有意な場合もあったが推定誤差は大きかった。
3.ほかの気象条件を同一とすれば、「農林20号」では6月の平均気温は比較的低い方が増収し、8~9月の平均気温は意味を持たないようであった。「中生栄光」では7月の平均気温と収量の間に有意な正の単相関があったが、ほかの気象条件と同時に計算するとその働きは小さかった。これらのことから両品種とも7~8月よりも6月の気象条件がより強い影響を持つと考えられた。
4.「中生栄光」の収量と全道の反収とは有意な正相関を持った。


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