農業研究本部

イネカラバエの産卵習性及び被害様相の2、3について

木村 宏

北海道立農試集報.4,82-88 (1959)

道立農試渡島支場において1955年および1956年の2箇年にわたり調査を行った。

1.被産卵葉位は早生種ほど上位葉に、晩生種ほど下位葉に多くなっているが、これは産卵最盛期における最上位葉より3~4葉に多く産卵されるためと考えられ、品種間差異はないようである。
2.葉および茎当り産卵数はいずれも1粒がもっとも多く、3粒以上の場含は稀れであり品種間差異は認められない。
3.「南栄」、「新栄」、「南もち」、「万太郎米」およぴ「早生光」の5品種について被害穂と無被害穂の比較調査を行ったが、「万太郎米」の減少率がもっとも少なく、「南栄」が多い傾向にあった。また被害穂における総粒数に対する健全粒数の割合は「南栄」が少なく70%で、ほかの4品種はいずれも85%前後であった。
4.同一品種内の主稈およぴ分けつ茎別の比較では一定の傾向を示さず、品種によって異なった。この点についてはなお検討を要する。
5.被害茎の位置による被害穂と無被害穂の比較では、無被害穂に対する減少を認めたが、同一株内の健全茎に対してはあまり影響を示さなかった。
6.産卵時期別にみると被害の差はあまり大きくはないが、早期産卵のものほど被害茎の減少率が高い傾向を示したが、これは幼虫加害期間が長いためと考える。 


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