農業研究本部

道南地方に分布するろ土の特性とその改良に関する試験
第2報 砂客土の効果とその施肥法について

南 松雄、高田 亨

北海道立農試集報.10,76-88 (1963)

 道南地方に分布するろ土改良法の1つとして、砂客土の効果とその場合の施肥法に ついて調査して次のような結果をえた。 

1.砂客土によって、地温が上昇し、気相および固相の割合が増加して通気性が良好 となり、過湿性も緩和され、ろ土の理学性が相当改善された。その結果、作物は 窒素多施と類似の初期生育を示し、かつ、登熟性の向上と相まって収量も20% 前後増収した。
2.収量および経済性の両面よりみて、ろ土に対するもっとも効果的な海砂の客土量 は容量比で原土に対して3:1のものである。
3.砂客土区は原土区に比較して、単位容積当たりの土壌窒素のアンモニア化成量が 10%程度高く、NaFおよびNa-oxalateのような石灰沈澱剤に溶解する腐植が増 加し、かつ、腐植化度も高くなった。次にPAGEの方法で土壌窒素のfractionを分 別すると、アルカリ可溶の窒素が増加し、特にODENのFluvosaureに相当し、 分解されやすい腐植と考えられるnonhumic matter部の窒素量が顕著に増大して いる。一方、各fraction中のCaO、Al2O3、Fe2O3含量を測定した結果、アルカリ 可溶部のFe2O3量が増大していることより、ろ土に砂客土をした場合には鉄と結 合した腐植が分解溶出したものと考えられる。
4.砂客士した場合の施肥法としては、土壌窒素の無機化量が多いために、なるべく 窒素の施用量をおさえて窒素の4倍量程度の燐酸を施用することが必要である。


全文(PDF)