農業研究本部

根釧地方泥炭の理化学的特徴と開発に伴う土壌肥料学的諸問題について
第5報 泥炭よりの窒素の放出

早川 康夫、奥村 純一

北海道立農試集報.12,1-10 (1963)

 釧路泥炭地ではマメ科牧草の混生比率が高く保持されていたが、同時に草地開発化 されているサロベツ泥炭地の場合はイネ科牧草が優占していた。 この相反する現象は、泥炭の特性にもとづく窒素供給量の差によるものであることが わかった。すなわち、釧路泥炭は混入火山灰から溶出されるR203と腐植が結合し、窒素の無機化を伴い難い形の腐植が蓄積されつつあるのに対し、サロべツ泥炭地は水位 が高くまたしばしば洪水をうけ植物工遺体が未分解の状態に保持されているが、開墾の際の排水によって急激に酸化分解を起こし無機態窒素が一時に多量に放出されるためと思う。


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