農業研究本部

根釧地方火山灰土壌中における燐酸の行動
第2報 可給態無機燐について

早川 康夫、奥村 純一

北海道立農試集報.8,13-23 (1961)

 根釧地方火山灰中の可給態無機燐と2、3の定量法について検討した。  実験結果を要約すると次のとおりである。 

1.肥料3要素試験の結果では、燐酸欠乏症状が顕著に現われたのはM-dA、M-d CおよびM-aCであるが、M-aAおよび支場土壌ではその症状が軽微であった。 対照として用いた本場沖積土は3要素区にせまる収量をあげた。しかし供試した 5種の可給態燐酸分析法はいずれも3要素試験の結果に一致しなかった。
2.幼燕麦は土壌に添加した燐酸中の水溶性燐酸およびCa-Pを主に吸収した。その 際吸収した燐酸はイオン交換樹脂法により置換された燐酸量にほぼ一致した。
3.溶出法にもとづく可給態燐酸定量法のうちN/5HCl法などは土壌無機燐の各fraction 中Al-Pを、Truog法などはCa-Pの部分を主に溶出させているようで あった。
4.各種濃度の燐酸を土壌に添加して無機燐の各fractionを分別したところ、添加燐 酸が少ない場合は大部分がAl-Pとなり、多くなるにつれて水溶性燐酸および Ca-Pとして保持された割合が高かった。燐酸添加土壌の乾湿を繰り返した場合 Al-Pが増加したが、本場沖積土などは乾湿処理による影響が少ないようであっ た。


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