農業研究本部

大豆の無機栄養に関する調査
第2報 葉位別葉における窒素、燐酸、加里および石灰の行動について

平井 義孝

北海道立農試集報.8,24-36 (1961)

 大豆の葉位別葉での無機要素の行動を知る目的で、圃場に標準栽培した「大谷地2 号」を用いて1958年窒素、燐酸、加里および石灰について調査した結果次のことを得 た。 

1.乾物重、窒素、燐酸および加里の推移ならびに葉の形態などから大豆の主茎葉を 次の4つの型に分別した。
1)子葉:乾物重およびこれら要素は生育に伴い増加することなく、減少が著しい。
2)下位葉(初葉~4/0):葉令は50日以内で葉形は小さい。乾物重やこれら要素の集積量は最大値後は速かに減少する。移行量は小さいが移行率は高い。
3)中位葉(5/0~12/0):成熟期まで着葉し葉形は大きい。 乾物重およびこれら要素の集積は速かに行なわれ、かつ量は多い。最大値を示 してから登熟期になるまでの減少は少ない。移行量は多いが移行率は低かった。
4)上位葉(13/0、14/0):出葉がおそく、葉令、葉形とも中位葉より小さい。 これら要素の含有率は緩慢に低下し、乾物重およびこれら要素の集積量は中位 葉と異なった推移を示したが、下位葉ほど急速な低下はなかった。移行量は少 ないが、移行率はやや高い。
2.窒素、燐酸および加里は頂向的に高含有率の分布であるが、窒素、加里は新生葉では例外であった。
3.石灰は下向的に高含有率の分布を示し、その集積の経過からほかの要素と異なり、葉からの再分布する可能性はほとんどなかった。
4.分枝葉の乾物重および窒素含有率を主茎葉と比較した結果、その推移に遅速およ び濃度の差はあったが、発生の早い下位分枝には主茎葉の下位、中位および上位葉に、また上位分枝には中位および上位葉に相当する葉が存在した。


全文(PDF)