農業研究本部

根釧地方に分布する摩周統火山性土の腐植の特性について
第2報 腐植の塩基置換容量

早川 康夫

北海道立農試集報.9,62-68 (1962)

 摩周a層は降灰年代が比較的新しく風化が進んでいないので、無機粘土に由来する C.E.Cは小さい。また、この層の腐植もNaOH可溶のもの、または植物遺体など腐植 化の進まぬものが多いが、このような腐植の塩基置換能は小さい。これに対し、埋没 土摩周c、d層では無機粘土のほかに腐植化の進んだNaF可溶腐植が塩基置換の主体と なっていた。しかし、腐植化の進んだ火山灰腐植には礬土が結合しやすいが、この際 礬土の結合によって腐植の置換能が若干減退することを認めた。これは、つぎの実験 により明らかであった。 

1.稀塩酸前処理により礬土を除いたのちpH7に戻してC.E.C.を測定すると、若干 高い価を示した。
2.稀塩酸の代わりに、キレート抽出剤で礬土を除いた場合でも同様な傾向が認めら れた。
3.腐植を溶解抽出したものにR2O3を添加するとC.E.C.が低下した。


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