農業研究本部

寒地水稲の窒素代謝に関する研究
第2報 低温処理の影響

多賀 辰義、南 松雄

北海道立農試集報.22,34-47 (1970)

 寒冷地稲作における安定性の阻害要因は、いわゆる生育期間中における低温寡照に 起因する水稲の生育遅延と、それに伴う登熟不良ならびに頴花形成および開花障害による不稔粒の増大であるといわれている。したがって生育時期別の低温処理が生育、 収量面ならびに水稲体の窒索、炭水化物代謝に及ぽす影響について検討した。  幼穂形成期め低温処理は草丈の伸長および茎数の増加量を顕著に抑制して、その生育を遅延せしめる傾向を示すが、最高分けつ期以降の低温処理では、不稔粒の増大、 登熟性の低下により減収を示した。また、水稲体内栄養組成の面からみると、低温処理は明らかに窒素および炭水化物代謝の撹乱を示し、低温処理によって水稲体内の全窒素と蛋白態窒素含有率が低下し、全水溶性窒素とアマイド+NH3態窒素含有率が増加する傾向を示した。一方、炭水化物の濃度は低温処理によって高い含有率になる傾向を示した。


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