農業研究本部

水質汚濁が水稲の生育収量に及ぼす影響に関する研究
第1報 パルプ工場排水の影響

南 松雄、谷口 健雄

北海道立農試集報.24,56-68 (1971)

 水稲に対するパルプ工場排水に起因する水質汚濁の影響について、ポット試験で、 灌漑水のBODおよび有機質浮遊物(みずわた)含量と水稲の生育、収量ならびに土壌 の理化学性の関係の面から解析を試みた。  高BODの灌漑水は土壌塩基の溶脱量を増加し、土壌の酸性化、老朽化を促進した。 その灌漑により、水稲の生育は秋落ち的傾向を示し、連用によって生育不良となり、 著しく減収した。パルプ工場排水流入地点に発生する「みずわた」は有機物、窒素に 富み、その分解にともなう窒素の付加的影響は著しかった。  一方分解にともなって土壌Ehの低下度合は激しく、水稲の初期生育を抑制し、生育 遅延、登熟不良を招来した。その傾向は低温年に一層著しかった。


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