農業研究本部

水稲品種の栄養生理的特性に関する研究
第1報 品種の生理生態特性と基肥Nの反応性

古山 芳広、南 松雄

北海道立農試集報.28,1-12 (1973)

 本道における水稲の主要な2品種「そらち」と「しおかり」の基肥Nに対する生理 生態的応答性について比較検討した。  「そらち」は「しおかり」に比し、Nの吸収力が強く、基肥Nの増施による穂数お よび葉面積の増大は容易であって、高温年においてはその有利性が発揮されるが、低 温年では登熟面で不利である。  「しおかり」は基肥N増施による収量の増加度合が高く、籾数生産能率も高い。し かし葉面積は「そらち」よりも小さく、炭水化物含量は低いが棄身のN濃度の高いこ とと受光態勢のよいことが、低温年においても安定した収量を上げ得るものと考えら れる。また、最高収量を上げるための出穂期の葉身N濃度は「そらち」で2.8%、 「しおかり」では3.0%前後と推定され、品種によって若干異なる。


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