水稲品種の栄養生理的特性に関する研究
3.15Nトレーサー法による施肥窒素の吸収利用特性
古山 芳広、藤原 耕治、南 松雄
北海道立農試集報.30,32-44 (1974)
15Nトレーサー法によって、水稲による基肥窒素および追肥窒素の吸収利用特性 を検討した。 基肥窒素の利用率は、熟期の早い品種ほど高く、「イシカリ」が38.4%、「しおか り」が26.5%、「そらち」が16.1%であり、幼穂形成期追肥窒素の利用率はそれぞれ、 41.5%、67.0%、49.0%であった。また、差引法による施肥窒素の利用率は、15N トレーサー法の2倍以上も高かった。 追肥窒素の利用率は低温年よりも高温年の方が高く、高温年における幼穂形成期表 層追肥窒素が50%に対し、低温年の追肥時期別の利用率は30~40%の範囲であ った。 水稲に吸収された窒素は、追肥時期の遅いほど葉鞘・稈あるいは穂への配分比が高 かった。深層追肥窒素の利用率は表層追肥窒素の1.7倍も高く、65~86%で、 その吸収持統期間も長かった。 硝酸態追肥窒素の利用率はアンモニア態窒素の1/2~1/3であり、黄褐色土壌よ りもグライ土壌の方が高かった。
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