農業研究本部

重粘畑土壌の改良に関する研究
-土管暗渠と心土破砕併用による排水法-

山本 晴雄、上坂 晶司、山口 正栄、後藤 計二、伊藤 憲治、匂坂 昭吾

北海道立農試集報.30,53-64 (1974)

 重粘地の土地改良に暗渠排水、心土破粉が有力な手段として挙げられ、本報はこれ らを併用したときの排水法を検討した。 重粘地の過湿の原因は地下水によるものでなく、降雨による浸透水が作土下の透水性 の不良により停滞することによるものである。  従って基幹明渠の整備だけでも排水には効果的である。重粘地の排水は亀裂の量と その連続性に左右されるので、心土破砕の効果が期待でき、その点を浸透能、暗渠か らの水の排出速度において確認した。しかし心土破砕により生じた亀裂は2年経過後 の断面観察では確認できず、チゼル跡が排水に役立っていると思われた。重粘地の暗 渠の深さは0.6mで十分であり、さらに心土破砕を暗渠に直交させれば、間隔を20m としてもさしつかえない。  心土破砕は降雨1週間内外までは水を保留する傾向にあるが、pF2.3~2.8の段階 では逆に脱水を助長していた。重粘土の改善は一次的には排水であるが、むしろ過早 にそなえた土壌構造の造成が肝要である。  房におけるグスベリ状果の発生率を高めたが、追肥後低下した。


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