農業研究本部

極寒冷地域における放牧草地の維持管理法
4.主要イネ科牧草の貯蔵炭水化物蓄積に及ぼす秋の刈取りと施肥の影響

能代 昌雄、平島 利昭

北海道立農試集報.30,75-84 (1974)

 秋の放牧期間を延長するため、主要イネ科牧草の秋の利用と越冬前の貯蔵炭水化物 蓄積との関連を調査した。  その結果、貯蔵炭水化物は、秋季、気温の低下とともに株や根に蓄積され、とくに 貯蔵性に富むフラクトサンが主体であった。  秋の貯蔵炭水化物の上昇割合は草種の生育特性によって異なっていた。すなわち、 休眠が早く、秋の再生が少ないチモシーでは早い時期に急激に増加したが、秋の再生 が良く、晩秋利用のための草量確保が比較的容易なメドウフェスクやオーチャードグ ラスは、上昇割合が緩徐であり、とくに10月上旬前後の刈取りによって貯蔵炭水化 物の蓄積は質的、量的に抑制された。また、秋の高温は貯蔵炭水化物の蓄積を遅らせ る傾向があった。  8月下旬頃の窒素の適量施用は越冬前の貯蔵炭水化物含有率および個体当たりの含 有量をやや低下させたが、分けつ数の増加により、面積当たりの蓄積量を多くした。  一方、貯蔵炭水化物の蓄積に対する秋の燐酸の影響は判然としなかったが、加里の 適量施用は貯蔵炭水化物中のフラクトサン割合を高める傾向があった。


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