農業研究本部

網走地方に分布する主要土壌の養水分供給力に関する研究
第3報 土壌溶液中の加里が作物の加里吸収に及ばす影響

下野 勝昭、大垣 昭一

北海道立農試集報.31,1-13 (1975)

 北海道網走支庁管内に分布する代表的な数種の土壌について、1970~1973年にかけ て枠試験とポット試験を行い、土壌溶液K濃度の推移とえん麦のK吸収経過との関係に 検討を加えた。  その結果、一般的な傾向として無栽培区の士壌溶液中K濃度、およびK活動度比 (aRk)が高い土壌ほど、えん麦のK含有率、吸収量も高くなることを認めたが、佐呂間 土壌では、土壌溶液中Kが常に低濃度となるにもかかわらず、K吸収量は他の土壌に くらべて必ずしも低くならないことが認められたので、土壌溶液中Kのような活性な 部分の評価だけでは充分でなく、K供給の容量因子をも含めた総合的な土壌間の比較 検討が必要になると考えられた。  また、えん麦のK吸収はmass-flowによる供給だけでは説明することができず、そ の他の要因、例えば、土壌中でのKの拡散などによって供給される可能性の強いこと を認め、この結果から、枠試験とポット試験におけるえん麦のK吸収経過の相違を明 らかにした。


全文(PDF)