農業研究本部

放射線によるバレイショの突然変異
1.γ線による突然変異

金子一郎

北海道立農試集報.31,28-33 (1975)

 バレイショ品種「農林1号」の塊茎に、2.5~30kRのγ線を照射した後、それぞれ 1個の目をつけた小切片に切断して温床に伏込み、萌芽した切片を圃場に栽植した。  その結果萌芽率は15kR以上の線量になると低下し、30kRでは、わずかに11% であった。  照射当代植物には、種々の形態的異常が5kRからみられ、線量の増加につれて異常 個体の発現率は高くなった。しかしこれら異常個体の次代には、形態的異常がみられ ず、ほとんどの個体は正常であった。照射第2代ならびに照射第3代に発現した変異 は、いずれも次の代に伝えられるから、突然変異とみなすことができ、最も発現頻度 の高い線量は15kRであった。変異の種類は葉に関するものが最も多かった。多くの 突然変異系統は、収量、でん粉含量などの実用的形質については、原品種にくらべて 劣っていたが、生育日数の短かい系統が得られた。


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