チモシーの反復栄養系による母本の評価
脇木 隆
北海道立農試集報.31,50-59 (1975)
チモシーの草収量の向上を目的とした育種過程の中で母本の一般組合せ能力に関す る選抜は重要な位置を占めるが、反復栄養系による母本評価に関して、1.反復母本 栄養系とそれらの放任授粉後代との相互関係から推定される栄養系選抜の効果、2. 反復栄養系の実用形質の年次的推移による形質の評価、3.反復栄養系試験区の構成 とその精度について試験を行い、次のような知見が得られた。
1.反復栄養系とそれらの放任授粉後代との間に草量について有意な相関が得られ (0.336**)、母本栄養系の表現型選抜が潜在的一般組合せ能力の選抜にある程度の 効果が期待できることを示した。
2.栄養系の草量のほかに草丈、茎数および基部面積を組合せた複合形質の場合は後 代との相関がやや高くなったが、選抜効率は草量単独の場合と差異がみられなか った。
3.反復栄養系の出穂期、草丈、茎数、斑点病程度および草量のいずれの実用形質に おいても年次間再現性が比較的高かったが、単一年次の成績にもとづくよりも年 次をこみにした評価によってより正確な選抜が可能である。
4.反復栄養系試験区は1区当り1株、1個体からなる構成が合理的であり、系統平 均値に対する系統間最小有意差の割合で示した精度の推移から、草量の評価には 4~5以上の反復が必要である。
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