農業研究本部

アカヒゲホソミドリメクラガメの産卵、発育と温湿度との関係

奥山 七郎、井上 寿

北海道立農試集報.32,45-52(1975)

 アカヒゲホソミドリメクラガメTrigonotylus colestialium KIRKALDYの卵と幼虫の発育および成虫の生存ならびに産卵とほ湿度との関係について実験を行った。各態の発育所要日数は15~30℃の温度範囲では、温度の上昇にともなって短縮し、温度と発育速度との間には1齢幼虫を除いて直線的な関係がみられた。発育臨界温度は卵で10.4℃、また、幼虫で9.2℃であり、有効積算温度は卵で、122日度、幼虫で256日度で比較的低温環境に適応している種類である。また、以上の数値を用い、野外における半旬別平均気温をもとに、非休眠世代の経過所要日数を算出した結果、実測値とよく一致した。したがって、越冬卵のふ化時期やその後の発生経過は、6月までの気温を知ることによって、ある程度予測することが可能である。 本種の成虫の生存期間は温度が低いほど長く、高温になるに従って短縮される。また、卵や幼虫の発育および産卵活動に好適な温度条件は20~25℃の範囲にあり、卵の発育に最適な湿度は100%R.H.付近にあると推定された。


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