農業研究本部

ニンジン播種機の性能

島田実幸

北海道立農試集報.32,60-68 (1975)

 ベルト式播種機、ロータセル式播種機及びシードテープの3種類の点播機について 適応性能を調査した。ベルト式では播種ベルトの種子穴から落下する粒数、進行方向 分布、落下ミスは穴径と作業速度が大きく影響し、穴径が大きいと落下粒数が多くな るが、同じ穴径でも作業速度が高くなると落下粒数は減少する。  落下ミスについては穴径が大きくなると減少し、4.5㎜φでは0.3~1.0m/sの速度範 囲で欠株は生じない。穴径が小さくなると作業速度の影響が強く現われ、3.0㎜φでは 0.33m/sで5%程度であるが、0.99m/sに高めると15%と比例的に欠株率が増加する。  種子の大きさは精密点播機構では落下粒数及び欠株発生に敏感に影響し、毛なしで 選別が良好なチャンテネ種子は播種状態がよいが、毛付でかつ枝梗くずの混入するUS 種子では機械性能を十分に発揮できない。  ほ場試験においては3機種の性能比較を行ったが、ベルト式が良い成果をあげた。 ベルト式の少量でかつ安全性の高い穴径は4.0㎜であり、播種間隔を最終株間と同一 に設定して差し支えない。穴径3.5㎜の場合は欠株が24%程度発生するので、播種間 隔を狭くするなどの対策が必要となる。シードテープは播種後干ばつ気味であり、被 覆材の隔解が十分でなかったため発芽は不良であった。播種密度による間引労力は、 7~8㎝点播では12~15人時/10aであり、間隔の狭い3㎝点播では16~17人 時/10aと疎播の効果が明らかである。


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