農業研究本部

水稲新品種「きたこがね」の育成について

藤村 稔彦、佐々木 多喜雄、山崎 信弘

北海道立農試集報.33,1-10(1975)

 「きたこがね」は昭和36年上川農業試験場で交配した「北海182号」(のちのユーカラ)×「上育230号」のF4雑種集団種子を、昭和39年北見農業試験場で譲りうけ、以後同場で早熟・耐冷・良質・強稈を目標に選抜固定をはかり昭和43年「北育51号」の配付系統名を付して特検・奨決の各試験を重ねた。昭和48年1月北海道農業試験会議、3月北海道種苗審議会の議を経て北海道の奨励品種に決定された粳品種である。 主要特性の大部分において対象品種の「はやゆき」・「なるかぜ」・「安斉系統」・「かちほなみ」・「農林20号」等にまさっている。すなわち、初期生育良好で、出穂期は育成地で中生の晩に属するが、登熟が早いため成熟期は中生の中となる。短稈・偏穂数型で直立し、草姿は良好である。ふ先に中程度の中芒を有し、ふ先色は黄白である。障害型耐冷性および耐倒伏性はやや強であるがいもち病には弱い。 品質は「しおかり」程度で良好、食味はこれと同程度かややまさる。収量は比較的高く「なるかぜ」「農林20号」より年次間変動少なく安定している網走・十勝支庁管内の中生・良質品種として推奨される。


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