農業研究本部

トウモロコシ・スイート種、特に自殖系統「Ma21547」種子にみられる発芽異常

櫛引 英男、仲野 博之、谷原 丈夫

北海道立農試集報.34,8-14 (1976)

 発芽異常の形態は、出芽および出根のみのもの、幼芽のわん曲しているもの、幼芽・幼根長が異常に短いものなどである。  その原因が、系統の遺伝的な変化によるのか、あるいは種子が病原菌に侵されることによるのかについて、発芽異常種子の次代を追跡して検討した。その結果はつぎのとおりである。  発芽異常を示した種子の次世代の種子でも、病原菌に侵されない状態で採取された場合にはほとんど発芽異常が認められないが、正常な発芽を示す種子の次世代の種子が、倒伏など菌に侵されやすい状態で採取されると、著しい不発芽とともに発芽異常を生じた。しかしながら、いずれも発芽以降の生育個体の形質には、差異が認められなかった。  一方、発芽異常の種子からは、2種類のFusarium菌、1種類のPenicillium菌が検出分離され、発芽異常をおこす変色種子の抽出液を発芽培養液として用いた場合に、発芽異常が多くなることから、病原菌の毒素が幼芽、幼根の伸長を抑制抑するものと推定された。


全文(PDF)