農業研究本部

大豆の耐冷安定性の選抜に関する研究
2 初期生育旺盛度の評価

土屋 武彦、三分一 敬、砂田 喜与志

北海道立農試集報.34,15-22 (1976)

 大豆の本葉が2~3枚の時期に、生育の良否を5人の肉眼観察により5段階に評価 し、これを初期生育旺盛度とした。  本報は、これらの評価が大豆の耐冷安定性の選抜に役立つ形質のひとつになるかを 検討した。  圃場は、北海道十勝地方における気象条件の異なる3地域を選びそれぞれ、1970、 1971年は38品種について1区7.2㎡、乱塊法2反復、1973年は16品種について1区 18㎡、乱塊法2反復し、肉眼観察と同時に、主茎長、主茎節数、葉面積、乾物重を 測定し比較検討した。その結果、 

1.異なる観察者による初期生育旺盛度のスコアは近似しており、個人によって着目 形質の差は認められず、測定したすべての形質との間に有意(P<0.01)な正の相関 を示した
2.スコアの品種間分散は、圃場、年次のいずれについても高い有意性を示し (P<0.01)、品種固有の特性を表わしている。
3.スコアと収穫時における測定形質間の相関は、とくに総重、子実重において高く また、低温気象条件がきびしくなるにしたがって高くなる傾向にあった。
4.スコアと測定各形質における耐冷安定性指標との間には、高い相関(P<0.0l)があ り、低温気象条件下における大豆の初期生育旺盛度は、その耐冷安定性と密接な 関連があることを示した。


全文(PDF)