農業研究本部

有珠山火山性土壌における混層耕の効果

小林 茂、宮脇 忠、山口 正栄、後藤 計二

北海道立農試集報.34,23-31 (1976)

 有珠山火山性土壌は北海道南西部に位置する洞爺湖の北部台地上の表層に分布し、 主として有珠山火山灰bl(Us-bl)からなり、さらにこの層の直下に堆積する埋没腐植 層は、不明火山灰と羊蹄ロ一ムA層(Yロ一ムA)からなっている。  表層のUs一b1層はち密化し、この地方に作付されている作物の多くは、浅根性の豆類に偏向していた。  本報は、自然状態にあるUs-bl層と埋没腐植層との混層耕、さらに混層耕後の施肥 法について検討した。  その結果はつぎのとおりである。  この地方で栽培されている主要作物の中で、てん菜、ぱれいしょ、小豆は、混層耕 によって顕著に増収した。その主な要因は、作土Us一b1および埋没腐植の両層が反転 混層されることにより、ち密なUs一b1層が膨軟化し、かつ下層土壌の易有効水分容量 が増加して乾燥期における下層からの水分供給が容易になることにある。  混層耕後の施肥法は、初年目は燐酸肥料を重点にし、2年目からは窒素肥料を重点に施用する。豆類、てん菜など燐酸の肥効の高い作物については、初年目と同様に2 年目以降もなお燐酸肥料を増肥する必要がある。


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