農業研究本部

トウモロコシの発芽に関する耐冷性とその検定法に関する研究
2 低温発芽性の検定法と表示

櫛引 英男、仲野 博之

北海道立農試集報.35,1-7 (1976)

 従来のCold testによる低温発芽性とは異なる種子自体の低温発芽性、つまり、低 温下における種子の発芽活動力を遺伝的特性として捉え、その検定方法を検討した。  その結果供試種子をシャーレ(ろ紙)に置床し、10℃で12日間処理して発芽調 査をし、これと別に行なった25℃前後の常温下の発芽調査結果から、次式によりえ られる比較低温発芽勢を低温発芽性として示すことが適当な検定方法であることを認 めた。  この場合シャーレ内部と供試種子を殺菌剤により処理することが必須条件である。 比較低温発芽勢=低温条件下の発芽勢/常温下の発芽歩合(%)  この式により得られた比較低温発芽勢は実際の圃場における低温年次の発芽期まで 日数および発芽勢との間に有意な関係を示した。すなわち、比較低温発芽勢の高い系 統は発芽期まで日数が短かく、また発芽勢が高く、比較低温発芽勢と圃場の発芽期ま で日数および発芽勢の間には、一.725**と一.750***、の有意な相関係数がえられた。 しかし、従来の検定法による低温発芽率と低温条件下の圃場における発芽期まで日数 および発芽勢との間に関係は認められなかった。


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