農業研究本部

強粘質水田土壌の物理・化学的特性と生産力向上に関する研究
1 排水不良田土壌の物理・工学的解析

前田 要、南 松雄

北海道立農試集報.35,18-28 (1976)

 強粘質を呈する3種類の排水不良田(グライ低地土;2、グライ台地土;1)の土壌 の物理・工学的な特性について検討した。  両土壌ともCasagrandeの塑性図上ではA線の下に位置しており、高圧縮性の無機質 シルトと有機質粘土の領域に属していた。  耕起、砕土時および収護時におけるほ場の土壌含水比は65%以上できわめて高く、 地盤も軟弱であった。また、落水後の土壌の初期キレツ生成はpF1.5(含水比67%) で認められ、さらに、pF2.0(含水比60.8%)に達すると地表面に大キレツが生成され コンシステンシー指数も大型機械走行可能な値(Ic=0.5)を示した。両土壌とも湛水後 の土壌還元の進行にともなって2.0㎜以上の耐水性粒団割合の急激な減少と 20μ以下の土粒子の分散率の低下が認められ、作土の土壌構造は著しく泥状化した。 また、土壌含水比の低下は土壌の液性限界および塑性限界の減少と容気度、飽和透水 係数、圧砕強度ならびにIcの増加をもたらした。  以上の結果から、強粘質な排水不良田では土壌の乾燥を促進させて地耐力の増強を 図る方策が非湛水期間におけるほ場の土壌構造の生成・発達・安定化と機械導入時の 易耕性を高めるうえで重要な役割をはたすものと判断した。


全文(PDF)