農業研究本部

牧草の周年栄養生理と肥培管理に関する研究
1 施肥法の相違が牧草生育の経年的変化に及ぼす影響

坂本 宣崇、奥村 純一

北海道立農試集報.36,31-41 (1977)

 オーチャードグラスについて生育収量の経年推移を刈取り回数を年3回、最終刈取 りを9月下旬の危険帯前の条件で、窒素の施肥配分が異なる4種の施肥法について3 カ年間検討した。  1年目の年間収量には差がなかったが、経年化とともに次第に変化し、3年目にい たり、秋に重点をおいた施肥法が有意な差を示した。この収量の経年変化にもっとも 関与したのは1番草収量であった。すなわち、1年目の1番草は同一量は窒素用量に 単純に比例した。しかし、2年目以降では施肥配分の相違が晩秋における牧草の栄養 状態に差を生ぜしめた。このため越冬時までの新分げつ発生や養分蓄積などが著しく 異なった。  この傾向は萌芽再生から節間伸長にいたる1番草生育に顕著な影響を与え、秋に重 点をおいた施肥区の収量が飛躍的に高まった。  このように牧草生育を周年栄養生理的に追跡することは永年の維持管理法を確立する上で必要であろう。


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