農業研究本部

施肥並びに土壌水分条件が春播タマネギの生育、収量、貯蔵性に及ぼす影響
2 現地施肥実態と窒素施肥法改善

多賀 辰義、岩渕 晴郎、平井 義孝、相馬 暁

北海道立農試集報.36,42-52 (1977)

 タマネギの施肥実態調査を富良野、滝川で実施した。  その結果、同一地区でも農家ごとの変異が大きいが、窒素は大部分の農家で20kg/ 10aを越えており、燐酸および加里を含めて多肥農家群が多かった。このうち特に 窒素多肥に基因する腐敗増加の傾向が明らかとなった。  これと合せて試験結果をみれば、最終的なタマネギの収量は鱗茎肥大期の体内窒素 濃度と高い負の相関(r=-0.708**)があり、この時期の作物体重(乾物)とは高い正の 相関(r=0.906**)があることを認めた。  すなわち、この時期の窒素濃度は3%以下で、1個体10g以上程度の場合5t以 上の収量が得られた。試験地の収量は2から7t台と変異は大きいが、多収要因は腐 敗率、欠株率の低下による規格内球数の確保および大球比率の増加によるもので、特 に腐敗率8%以下で5t以上の多収を得たが、低収畑では13から29%にも達した。 なお、いずれの場合にせよ窒素施肥量が多いほど腐敗率は高まった。  窒素施肥量と収量の関係は地帯別、土壌別には明らかではなかったが、13試験地 のうち、窒素10kg/10a区が最高収量または同程度の場合6か所、15kg/10a区が 5か所であった。525、K2O15kg/10a)まで減量すぺきと考えられる。


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