農業研究本部

北海道水稲品種の理化学的食味形質についての育種的一考察

佐々木 忠雄、長内 俊一、稲津 脩、江部 康成

北海道立農試集報.37,1-10 (1977)

 米質とくに食味に関する理化学的形質の遺伝的統計量を知り、良質品種育成の基礎 資料とするため、北海道の新旧52品種系統について、2カ年、生育収量・品質・食味 等に関係する20形質を調査した。  すべての形質に品種系統間差異が有意に認められ、食味形質の遺伝力は収量・検査 等級・蛋白含量程度で、比較的高く推定された。  アミログラム・テクスチュログラムおよびでん粉のプルーバリューの形質相互間で は、粘着性との関係のみが弱く、他の関係はいずれも高かったが千粒重に大きく影響 された。  実用形質と食味形質との関係では出穂期・千粒重の影響する部分が多かった。  これらの関係を総合的に判断して、品質育種における対象形質ならびに選抜の手順 を想定した。早生・良質、多収・良質以上に早生・多収の結びつけは容易でないが、 段階的に進める過程で同時に良質化しうることが暗示された。


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