農業研究本部

大豆の裂莢性に関する育種学的研究
1 莢実水分含量と裂莢性の関係

土屋 武彦、砂田 喜与志

北海道立農試集報.37,17-24 (1977)

 裂莢性の検定方法を莢実水分含量と裂莢率の関係によって1974、1975年の2カ年に わたり生育特性の異なる12品種を供試し検討した。  その結果、

1.自然条件下における成熟後の莢実水分含量は20-13%に達し品種間に差はな いが裂莢率では年次において差が認められた。
2.しかし、熱風乾燥処理(60℃)することによって裂莢率に品種間差が認められ、 その傾向は年次間でもよく一致した。それを裂莢開始時の莢実水分及び莢実水分が5%に達したときの裂莢率でみると、それぞれ裂莢易の品種では15-10、 90-100%、裂莢難の品種では10%以下、0-10%であった。
3.成熟期前10日程度の未熟莢の裂莢性は、熱風乾燥処理によって成熱莢と同じ傾 向を示した。

 以上により、裂莢性は品種固有の特性であり、裂莢を支配する第1要因は莢実水分含量であること、又循環式熱風乾燥機による人工乾燥処理(60℃)は、裂莢性の検定に有効であることが示唆された。


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