農業研究本部

強粘質水田土壌の物理・化学的特性と生産力向上に関する研究
2 排水不良田の水管理

前田 要、南 松雄

北海道立農試集報.37,25-34 (1977)

 強粘質を呈する4種類の排水不良田(グライ低地土;2、グライ台地土;2)で農業 土木的な排水法改善処理および栽培技術的な水管理法が収穫機械の走行性と稼動能率 向上の面よりみて、主に土壌乾燥化にどのような影響をおよぼすかを検討した。  排水法改善処理では4土壌とも近年普及されつつある籾殻暗渠および籾殻心土破砕 は、従来の土もどし暗渠および心破砕に較べ融雪後および落水後の地表面水の消失と 大キレツの生成が早く、土壌の乾燥程度も後者に比較すると著しく良好であった。  つぎに、水管理法では登熱期における落水時期の早期化により土壌のIcおよび地表 面の垂直硬度の高まる傾向がみられ、その時期は本土壌では落水後の収穫機械の走行 と水稲の登熱生理面から出穂期が最適であった。  また、中干しも落水後の速やかな地表面水の排除を助長するが、収穫機械走行可能 な地耐力を期待し得る強度は土壌の脱水・収縮過程およびキレツ生成状態からみてpF-土壌水分張力値で2.0以上が必要であるものと判断した。


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