農業研究本部

施肥並びに土壌水分条件が春播タマネギの生育・収量・貯蔵性に及ぼす影響
4.生育初期における濃度障害と乾腐病発生の関係

岩渕 晴郎、多賀 辰義、相馬 暁

北海道立農試集報.39,27-33 (1978)

 タマネギ乾腐病の発生は施肥や土壌環境条件に強く影響されることから、異なる形 態の窒素質肥料を用い、土壌の塩類濃度と乾腐病発生の関係を検討した。  定植後3、15、28日目の土壌ECと乾腐病発生は正の相関があり、早い時期ほど相関 が高かった。これを肥料別にみれば、尿素では両者の相関は低く、智硝、塩安の場合 とは異なった。  一般的にEC上昇に最も影響の大きい土壌硝酸態窒素と乾腐病発生の相関は、智硝、 塩安ともに高いが、智硝では正、塩安では負の相関でしかも遅い時期では弱まった。 塩安でのEC上昇は塩素がその原因で塩安多量施用ほど初期の硝化抑制が大であった。  したがって塩安の場合にはアンモニア態窒素と乾腐病との相関も高かった。なお尿 素については乾腐病発生が他の肥料より少なく、硝酸態や無機態の全窒素と正の相関 がやや認められる程度であった。  以上の結果から生育初期における施肥や土壌乾燥による塩類濃度障害が乾腐病の発 生を助長していると考えられる。


全文(PDF)