農業研究本部

水稲品種の栄養生理的特性に関する研究
4.根系発達の特徴と窒素吸収特性

古山 芳広、南 松雄

北海道立農試集報.39,42-53 (1978)

 重窒素をもちいたポット試験および根箱試験によって、水稲品種の根系発達の差異 と窒素吸収特性の関係を比較検討した。  全層施肥窒素の吸収量は「イシカリ」(早の晩、穂数型)、「そらち」(中の中、穂 数型)、「しおかり」(中の早、偏穂数型)の順に多く「しおかり」と「そらち」の差 異は根重の優劣によったが、「イシカリ」は単位根重あたりの窒素吸収量が多かった。  また、「しおかり」と「そらち」は「イシカリ」にくらべ土壌窒素の依存度が高い 傾向が認められた。根系の差異は、「イシカリ」では太い根が直下層に発達し、下層 分布型をとり、「しおかり」は根重がもっとも劣ると同時に表層分布型をとり、根が 細く根活性が低下しやすい特性をもっていた。「そらち」は根数が多く根系は広いが 開傘的で、直下層の分布がやや劣った。  窒素の施肥位置の差異は根の発達にいちじるしく影響したが、品種間では「しおか り」がもっとも強く影響を受けた。


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